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足部のみかたシリーズ⑫ ~思考する過程の重要性~

足部

2021.10.01

 

※前回のコラム『足部のみかたシリーズ⑪ ~フォワードランジの外乱動揺について~』もご覧下さい。

 

 

これまで、

私が提唱している4つの動作について、その診かたを中心に解説してきました。

 

これらはあくまで足部機能のある一面を捉えているにすぎませんが、これすらもできていないことが臨床では多くみられるため、まずは比較的簡便なスクリーニングには適していると考えます。

 

何より重要な点は、これらの動作を陰性or陽性で判断するのではなく、どう捉えて、どう考えるか・・・

 

つまり動作と諸症状の因果関係がどうであるかを思考する過程です。

 

例えば、二人の対象者を評価する際に、片脚立位において二人ともに同じような足部機能の低下を認め、動作特徴も同じだとします。

しかしながら、訴える症状と求められる運動機能の希望が違った場合は、やはり我々の思考も違ってくるわけです。

つまりは、片脚立位を安定させなければいけない人もいれば、一方では片脚立位は不安定な状態に導く場合もあるということです。

 

具体的には、片脚立位は小趾側荷重機能が高い方ほど、安定した動作遂行が可能です。

しかしながら、その片脚立位が安定しすぎていることにより、足部機能および身体動作にバリエーションが乏しいケースも少なくありません。

 

一見、片脚立位が安定することが、正解だと捉えがちですが、それだけではありません。

 

むしろ、一時的には不安定要素を敢えて作り出し、中長期的に運動のバリエーションのある足部機能を獲得していく考え方が重要なのです。

 

 

このように、動作をただ観察し、現象を捉えることが重要なのですが、それはできて当たり前の話であって、

そこからどう捉えるか?

 

その人にとってのその動作は合理的なのか?

などの一歩踏み込んで思考が功を奏することが多いのです。

 

 

したがってアスリートなど複雑な動作が必要なケースでは、このような思考なしではインソールでの十分な対応はできません。

 

そういう意味では、思考が間違っていると、インソールも間違った形状になってしまうわけで、常にリスクと隣り合わせで評価を実施しているという緊張感が必要なのです。

 

値段的には決して安くない製品の価値を更に高めるのは、マイスターの力量です。

 

これだけ、丁寧に診てもらって、アドバイスしてもらって、この値段なら安い・・・

と思ってもらえるきめ細やかなサービスが医療現場でも求められていると私は思います。

 

 

理学療法士 山口剛司


足部のみかたシリーズは『足部』からご覧いただけます。

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