Columnマイソール協会コラム
足部のみかたシリーズ⑤ ~荷重点位置のみかた~
今回は、足部の荷重点位置のみかたについて、解説していきます。
(前回の足部のみかたシリーズ④~荷重点位置について2~もご覧ください)
筆者は、荷重点位置の評価は、姿勢動作観察で行います。
見る項目はいたってシンプルです。
① 立位、 ②歩行、 ➂片脚立位、 ④フォワードランジ
の4つの項目です。
色んな動きを見るのは良いのですが、この4つでも十分問題点の共通項目が抽出できます。
もちろん他の姿勢や動作を見ても良いのですが、情報量が多すぎてもかえって評価の統合に混乱を招くだけです。
大事な点は、観察するポイントです。
どの姿勢動作においても、関節がどの位置にあって、関節運動がどの方向に動いているかを、正確に捉えることが大切です。
実際に荷重点は肉眼では見えるものではなく、推測にすぎませんが、関節の向き、アライメントを注意深く観察すると簡単に予測がつきます。
詳しくは、足底圧分布計で計測をすればすぐにわかります。
次に観察するポイントですが、上記の4つの項目において、
足にどのような動きの特徴があるかを探すことです。
例えば、立位姿勢では回内傾向で外反母趾があるケースが、片脚立位をした場合に、立位姿勢で見られた回内位が、さらに強まり回内運動が頻繁に生じたり、回内位を強めたままほとんど動かないことがあります。
それとは、逆に片脚立位になった途端に、立位姿勢で回内していたアライメントが、逆に回外運動が頻繁に出るといった場合もあります。
このように、一方向の関節運動しかできない場合は、ネガティブな印象を持ち、姿勢動作によって色んな方向に関節運動が伴う場合は、ポジティブな印象を持って良いでしょう。
足の関節運動が伴う場合のポジティブな印象の場合は、関節の運動範囲はどうなの?
というのが問題となります。
これもあくまで臨床においては、動的な場面での観察と対応になるので、あくまでセラピストの目測と主観的、患者さんの主観的な感覚でしかありません。
つまりはこれも定量化はできていません。
しかしながら運動の範囲は、ごくわずかであるということは言えます。
角度的には回内外の範囲は20°程度の可動性がありますが、見た目は小さい範囲を動いている程度なので、これが観察するのを難しくしています。
また、観察する時の視線が上から足を見下ろす形式になるとさらにわかりにくくなります。
ポイントは、視線をできる限り下げて地面に接している足と水平ラインに近づくように、しゃがんで観察することなどで、より動きが捉えやすくなります。
次に荷重位における足の運動は、足底面は、浮いているところがなく、接地していることが条件で、かつ姿勢が正中位で動揺していないことが重要です。
つまり、回内・回外運動は生じるものの、運動範囲は細かく回内外運動が生じても小さな振幅で制御できていることと、満遍なく足底面が接地していることか重要です。
よくメディアで立位姿勢において、足趾が接地していなかったら浮趾だとか、非荷重位で母趾伸展角度が90°以上あれば浮趾というなど間違った情報が飛び交っています。
これは、訂正が必要で、片脚立位やフォワードランジなど運動タスクの難易度が上がってきた時に足趾が接地できるかどうかで、浮趾という診断ができます。
そのため、片脚立位では、足趾の屈曲運動の参与が必要となってきます。
理学療法士 山口剛司
足部のみかたシリーズは『足部』からご覧いただけます