Columnマイソール協会コラム
これからの療法士が考える視点Vol.8 ~リハビリテーションにおける再現性③~
前回のコラムはコチラ
「真ん中高めのボールは打ちやすい」
野球ではよく表現される言葉です。
確かに高校野球など観ていますと、そうだなーと思います。
では、
・ピッチャーはどんなタイプのピッチャーで、バッターはどんなタイプのバッターでしょうか。
・真ん中とはホームベースの中心線上でしょうか。もしくはバッターにとってでしょうか。はたまたキャッチャー?
・高めとはどこからどこまでを指すのでしょう?バッターの胸辺り?でしょうか。
・ボールの軌道どうでしょうか。真ん中高めにきた変化球の種類と直球の速度はどれくらいでしょうか。
・そのバッターはどんな球種を待っていた時でしょうか。
結論が明確に決まっていても、そのプロセスや物事の見方は千差万別です。
データは重要
データ野球といえばヤクルト野村監督を思い浮かべるでしょう(20代の方すみませんわかりにくいでしょうか)。
データの重要性年々メジャーリーグでも高まっていると聞きます。新人選手がどれくらい活躍し、10年後にどうなっているか、まで予測しているそうです。
的中率も高いと言うからさらに驚きです。
大谷翔平選手もメジャー1年目、バッターとして24本塁打くらい打つだろうというデータがあったそうで、結果としても22本塁打、でした。
しかし、大谷選手の場合、シーズン途中での肘の怪我がありました(その後トミージョン手術もしています)。
そんなに早く怪我をするとは予想していなかったでしょう。また、どこでスランプになるか、などはその日の体調にすら影響されてしまいます。
数字・データは非常に大切な指標です。しかし私達リハビリテーション職種はその日の体調もまた、念頭において行う必要があります。
声掛け一つでも変わる
また、動作指示の声かけも、その人の性格やお住い環境によっても大きく違います。
「歩くときは踵からつけましょう」
と
「歩く時はつま先を上げて着地しましょう」では、動作指示に対するリアクションが大きく変わるはずです。
その方の特徴を捉え、その日の体調を捉え、その時に応じた動作指示を行わなければなりません。
再現性と非再現性
では、その時その時の違いに対応して声掛け方法を変える、それは再現性を担保するものであるか?と聞かれたら、それはNOです。
そうですよね、再現性を高くするには声掛けなどの日による違いは「バイアス」とされてしまいます。
前提として、リハビリテーション分野と言うのは再現性と非再現性の狭間を行き来するものである、という理解をした上で従事するものです。
その上で「真ん中高め」がきちんと打てるバッターになるために練習し、失投をなるべくなくすトレーニングをたくさんしていく、それが我々医療従事者にとっては知識見聞・教養を高めることではないでしょうか。
重大宣言
そして敢えて公言しておきます。
近い将来、マイソールは海を渡り、メジャーの選手にも作っていきます。
日本では多くのアスリートに使っていただけるようになりました。
米国での製造特許も取得済みである、mysole®に、より一層ご期待下さい。
【PS】
今嚥下に関する話題がSNSを駆け巡っています。
私も摂食嚥下に関わっていた人間として、思うことはたくさんありますが、それはさておき。
「これからの療法士が考える視点シリーズ」でも書いてきたかと思いますが、コミュニケーションスキルが足りない時、思考や方向性の不一致があった場合に思考の違う人の人格否定をするケースが目立ちます。
なので最近SNSが苦手です(個人的な思いを書いてしまっております・・)
ざっくり言いますと、急性期での医療と回復期の医療と生活期の医療は違い、そのどこでも間違いというものはありません。
医療だけでなく介護もあります。
そしてもっと言えば、医療や介護と定義しているのは保険を使って、医療介護従事者が関わっている時です。
利用されている方にしたら、それが医療であろうが介護であろうがどっちでもいいと思っている可能性が高いです。
どのフィールドにも、自分のフィールドでの原体験があり、その仕事に誇りを持って生きています。
その誇りを胸に、従事すればいいと考えています。
思考の不一致から「ア◯」「バ◯」など罵詈雑言が飛び交っています。そしてそのリアクションの声に反応し、言った側も罵詈雑言を放っていることもあります。
誇りを胸に、どうしたらもっといい医療介護従事者として、人として生きていけるかを考えていきたいものです。
一般社団法人mysole®協会 理事
理学療法士 森本 義朗