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リハビリ職種なら絶対に抑えておきたい!【各関節の構造5】

足部

2020.06.24

足趾と内在筋について

 

足趾はリスフラン関節、中足趾節関節(MTP)、趾節間関節(IP=近位PIP、遠位DIP)によって構成されています。MTP関節の動的安定性は足部内在筋によって、IP関節の動的安定性は長趾伸筋や長趾屈筋によって担保されています。

足趾は偏移した重心を支持、および中心に押し戻す機能を持ち、姿勢保持や動作時の安定性と運動性の確保に重要な役割を担っています。足趾の機能は軽視されがちですが、特に足趾把持機能は足部内在筋との関わりが強く個人的に注意をして評価している部位です。

 

 

足趾機能の向上は足趾把持により、転倒予防や動的バランス能力と正の相関がある事は周知されていますが、村上らは歩行時、内在筋は立脚期全般に活動していることから、床面を蹴り出す直接的駆動力としては機能せず、内在筋は足部縦アーチを支持することで足部にかかる圧を吸収し、床面に対して足部を安定化させる働きがあることが考えられると報告しています。

 

またAngin らによると扁平足症例は正常な足部アライメントを呈する者に比べ、足部内在筋の筋横断面積が減少しており、一方で足部外在筋の筋横断面積は増加していることを報告しています。さらに扁平足症例の歩行立脚期において後脛骨筋の筋活動の増加や足関節内部底屈および回外モーメントの増加も報告されており、岡村らは扁平足症例では荷重動作中、後脛骨筋などの足関節内返し作用を持つ足部外在筋が代償的に筋活動を増加させ内在筋の機能不全が外在筋の過活動を誘発し、シンスプリントなどの過用症候群の一因になりうると考察しています。

 

 

足趾機能・内在筋が活きる条件として、適度なアーチ構造の保持が重要になりますが、特に横アーチが足趾機能良し悪しを決定づけるポイントとして重要です。

横アーチの機能低下を引き起こす原因として、ウィンドラス機構の破綻や外側アーチの過剰な低下、横アーチを構成する靭帯構造の破綻と筋の機能低下など多面に及びます。
これまでのコラムで足部関節は単一の部位として機能するのではなく隣接する関節の影響を受け、互いに協調を取りながら機能している事を紹介してきました。外反母趾などに代表される変形や痛みを伴う足趾機能不全についてはもちろんですが、浮趾などの無症候性の物も例外ではなく局所だけではない、広い視点をもった治療マネジメントが必要だと考えています。

 

 

足趾・内在筋が機能する事で(ここでは特にMPT関節での足指屈曲)良姿勢保持、歩行効率の改善、高齢者における転倒予防、スポーツ時のパフォーマンスアップ・障害予防、浮腫みなどの改善による痩身効果や巻き爪トラブルの改善などそのメリットは多岐にわたり、健康寿命の延伸や小児期の足育、アスリートのコンディショニングの一環として、足趾・内在筋機能の向上は重要な意味があると考えています。

 

理学療法士 芋川雄樹
mysole協会は【あなたの挑戦と足元から全身の健康】を全力でサポートします!

 

 

参考文献
村上茂雄:足部内在筋と外在筋の機能(2008)

岡村和典:足部内在筋は歩行中の足関節モーメントを変化させる機能を有する(2017)

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