Columnマイソール協会コラム
これからの療法士が考える視点 vol.2
これからの理学療法士に求められるスキルとして、プレゼンテーションスキル・ネゴシエーションスキルが重要、というコラムを前回出しました。
プレゼンテーションスキルについてのコラムはコチラ
プレゼンテーションスキルを磨くことで、自分自身が何を目的に何をしているのかが明確になる、という話でしたね。
何を目的にPTをしているかが明確になると、自分自身のウリや、強みも自然と見えてきます。
そこが打ち出せるようになると、今度は患者さんに提供できるものも当然明確になります。
ここでミスをしてはいけないのは、調子に乗ること、です。
これはまた改めますが、強みは時に過信に繋がり、最悪患者さんの望んでいない治療を行うことにも繋がります。
非常に多く見受けられることですので、これは要注意です。
ネゴシエーションスキルって?
さて話題を戻しますが、明確になった提供できるものに自信を持っていたとしても、今度は押し付けにならないように提案することが重要です。
プレゼンテーションスキルがついてきて、今度は押し付けにならないようにするには、、?
そう、「ネゴシエーションスキル(交渉力)」です。
ネゴシエーションスキルが身につくとどういいの?という点にお答えします。
いくつか挙げますと、
・患者さんとのコミュニケーションが抜群にスムーズになる
・今まで絶対に通らなかった上司への報告案件が通るようになる
・家族やケアマネージャーなどとのカンファで自分の意見を論理的に述べられるようになる
などです。
これは、かなり仕事がスムーズにそしてやりがいが出るようになると思いませんか?
では、普段交渉をする機会というと、どんな時でしょうか?
「そんな機会ない」
と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
患者さんに自分が評価した結果をお伝えし、治療方針について了解をもらう時、まさに交渉しています。
それを交渉している、と感じない方もいらっしゃるかもしれません。
もっともっと身近にしますと、電気屋さんや車屋さんでの値引きの相談などでしょうか。
でも電気屋さんや車屋さんでの交渉は苦手・・・という方もいらっしゃるでしょう。
どうやってネゴシエーションスキルを磨くの?
そこで、プレゼンテーションスキルを磨いた後にできるネゴシエーションスキルの磨き方をお伝えします。
最も必要なのは、相手のニーズを知ること。そしてそのニーズに応えられるスキルを私は有していますよ、とお伝えすることです。
私達は仕事柄、どうしても相手は「〇〇という問題を解決してほしいから自分のところに来ている」と勝手に決めてしまっていることがあります。
例えば、
・歩けるようになりたい
・痛みを取りたい
・筋力つけたい
というようなところです。
この前提を勝手に予想して評価し、治療を進めるだけですと、スタートライン(前提)から違ってしまっている場合、大きな問題になります。
なので、ネゴシエーションスキルを磨きたい人は、まず「相手が求めていることを明確にする」ということから始めることです。
勝手に決めつけずに、まずは対面した時の様子をしっかり観察するところから、を徹底的に行う。
たったこれだけのことで、前回のプレゼンテーションと今回のネゴシエーションという2つの大切なスキルを使いながら進められるようになります。
まとめ
まとめに入ります。
気がついた方もいらっしゃると思いますが、
「プレゼンテーションスキル」は自分を知ること
「ネゴシエーションスキル」は相手を知ること
になるということです。
特別なスキルのように書いてきましたが、相手を知り、自分を知ることが重要ですよ、というたったそれだけのことです。
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」
という言葉を聞いたことがあると思います。孫子の兵法ですね。
「相手を知り、自分を知ることでどんな戦いにも敗れることはない」
という意味ですが、今回のケースでいくと
「相手を知り、自分を知ることでコミュニケーションが円滑になります」
という意味になるかと思います。
ざっくりいうと
「コミュニケーションスキル」
ということです。
何気なく患者さんと会話している中にも、相手を知るための投げかけをし、常に自然と、それでいて意図して相手を捉えていくことで、必ずや「ネゴシエーション」がうまくなっていきます。
是非ともお試しください。
mysole®協会理事 森本義朗