Columnマイソール協会コラム
補装具再考
今回は、補装具の選択思考について考えていきます。
我々インソールを専門としている立場では、『インソールの適応基準は?』という質問が常にあります。どういった人に対して適用するのがよいのか?と問われると、実は応えにくいのです・・・。
私は、幸運にも現在までに一万足以上のマイソール設計・開発に携わってきました。
しかしながら、これらの経験から考慮しても、なかなか明確な答えは出せず、日々試行錯誤を繰り返しています。
結論的には、どんな方に対しても一定の変化が期待できますが、効果の大小や効能を感じるまでの時間の個人差、或いはそもそも相性的に合わないなどもあるでしょう。
そういった意味では、インソールでしかできないことを明確にすることも重要であると考えています。
話は戻りますが、補装具とは広義ではアンクルサポーターをはじめ、テーピング、ソックス、靴などのフットウェアなどが挙げられ、それぞれの特徴とメリット、デメリットを把握し、対象者に最も適したツールを提供することが望ましいと考えます。
とりわけ、インソールに関しては、『靴』があってこそ有効になるアイテムであり、そもそも靴に問題がある場合には、効果は期待できないということです。
つまり敢えて優先順位をつけると、靴>インソールという関係性は、必ず押さえておくべき事項となります。
これまでにマイソールを通じて得られた、知見を列挙しますと
①パッドによるアライメントコントロールは、素足が最も効果的である
(足に直接パッドを貼付しているとき)
②パッドによるコントロールは、足部周囲筋の筋機能が高いほどできやすい
➂補装具においては、インソールのみが荷重を利用したアライメントコントロールができる
④靴さえきっちり履いていれば、ズレることが少なく一定の刺激および効果が期待できる
これらの内容はマイソールに限らず、インソール全般に言えることですが、特にマイソールは動作重視での評価とパッド配置を決定するため、常にこれらのことを念頭に対象者を捉えることが重要なのです。
極端な話、パッドを素足に直接貼った状態で、ソックスを履きアライメントコントロールをすることも手段の一つですし、足部に対してテーピングを施行した後にさらにパッドでのアライメントコントロールを行うという点も有効でしょう。
特に➂の荷重を利用したアライメントコントロールという考え方は、インソール最大の強みであり、インソールでしかできません。この利点を最大限活かすには、動作分析とアライメントコントロールの思考が重要なのです。
次回は、それぞれの特徴を解説します。
理学療法士 山口剛司