Columnマイソール協会コラム
リハビリ職種なら絶対に抑えておきたい足部の機能⑦ 【足部の滑液包・脂肪体について】
リハビリ職種なら絶対に抑えておきたい足部機能⑦
足部の滑液包・脂肪体について
足部には多数の脂肪体、滑液包が存在しています。
Kager’s fat pad(KFP)、踵部脂肪体、踵骨下滑液包、中足骨滑液包が代表的ですね。
滑液包や脂肪組織には可動性、滑走性が求められ、KFPはアキレス腱と長母趾屈筋の間に存在し、関節運動時にそれぞれの滑走性を補助しています。短期間の固定や軽微な炎症であってもその滑走性は低下することから非常にデリケートな部位です。
踵部脂肪体や足底の滑液包は体重負荷時に衝撃を緩衝し、骨や神経を保護しています。
蜂の巣の様な脂肪組織で神経、毛細血管も存在する事から疼痛の発生原因となっている事もしばしば。Prichasukらは踵部疼痛者と健常者の荷重時の踵部脂肪体厚変化を観察し踵部疼痛者は健常者に比べ有意に踵部脂肪体厚が減少していたことを報告しています。強い衝撃により挫滅した脂肪体へ荷重時の圧迫ストレスが加わることで疹痛が生じると考えられています。
モートン病は第3・4趾間に発症しやすく、同部位の底側趾神経は近接する神経より太く可動性が悪いため損傷を受けやすい。更に足趾の伸展によりこすれ摩擦する事で中足趾節間滑液包(脂肪体)に炎症が生じやすく、底側へ膨隆し底側趾神経を圧迫する事で発症すると言われています。ヒール靴がモートン病を誘発する事が頷けます。
興味深いのは足底の脂肪組織は踵部と中足部とで若干性質が異なり、踵部は荷重に対して変形しにくく、中足部では荷重に対して変形しやすい特徴を有しているようです。
足部評価やアプローチの引き出しに脂肪体や滑液包の存在も注目ですね!
理学療法士 芋川雄樹
参考文献
MB Orthop.32(1):57-62,2019 踵部疼痛症候群の診かた
日本臨床スポーツ医学会誌:Vol21 No3 201 3.片脚着地時における 踵部脂肪体厚変化
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