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【マイスター限定コラム】ケーススタディ vol.1

会員向け

2020.09.18

ケーススタディVol.1

 

最近担当した患者で、内反小趾と筋委縮性のハイアーチにより、胼胝をきたしているケースがありました。

 

主訴が足の裏が痛くて歩けないとのこと・・・

 

疼痛部位は、右の小趾MP関節側面と小趾内反角度が強いため、第4趾側面に陥入していく圧迫による疼痛、

および小趾MP関節底部の胼胝の痛みでした。

 

歩行時など荷重時における、あるゆる動作で、小趾側荷重が過剰に生じており、同側スタンス期には膝内反角度が増加するパターンが認められました。

 

小肢以外の足趾についても荷重時は、しっかりと地面を捉えているわけではなく、浮いていたり、足趾間が密着したまま荷重に対する機能的な運動ができていない印象でした。

 

足底を確認してみますと、やはり小趾球に胼胝ができており、この発生要因を考えることが重要であると考えました。

 

要因は、2つ推測されました。

 

この胼胝は、基本的には小趾側荷重の強調が原因ですが、前回のコラムで述べましたように

ただ小趾側に荷重ができればよいわけではありません。

 

一旦は小趾側で体重を受け止めて、安定した荷重期を迎え、その後に足圧が移動するパターンが良いのです。

 

ここでいう安定した荷重期というのは、時間的には0.5秒未満の話です。

 

ですから、観察時は瞬きも許せません(笑)

 

それくらい集中しないと分析ができないものなのです。

 

 

もう一つの要因は、足底の筋肉、特にここでは小趾外転筋の萎縮による足底接地面積の縮小化です。

 

足部は、アーチ構造は骨で判断しますが、骨の基準でアーチが見られても、足底部の軟部組織が大きければ、

見た目は扁平足に見えるものです。

 

世間ではかなり誤った見解で捉えられていることが多いようです。

 

この軟部組織が足部機能の低下により、萎縮してしまい、結果として踵やMP関節部が足底面へ突出するケースをしばしば経験します。

 

 

この場合は、アプローチの考え方としては

安定した小趾荷重機能を作り、母趾側への足圧移動を誘導する条件を整えること。
・小趾外転機能を作り内反小趾のアライメント補正および、小趾外転筋の筋量を増加。

 

 

1つ目の荷重誘導は即時効果が期待できますが、

2つ目は、小趾のアライメント補正と小趾外転筋の筋量を増やすことは中長期的な目標となります。

 

しかし、患者の痛みをとるには即時効果が求められますので、ここでインソールなどの補装具が登場するのです。

 

 

そこでパッドを使ったアプローチを紹介いたします。

 

前回に述べましたが、補装具などのアプローチがうまくいけば、即時効果が期待できます。つまり完全には自分の能力ではないが、力を発揮するきっかけを作るということです。また補装具をつけているからと言って、すべて補装具が仕事をしているわけではありません。

 

動けているのは、自分の能力なのですが、身体機能を発揮する方法が、補装具なしでは、うまくできないという状態があるのです。

 

とりわけインソールについては、地道に足の機能を高めるような関節可動域や筋機能の改善を図れば、インソールを取り外すことが可能となります。

 

賛否両論ありますが、少なくとも私はそう考えています。

 

さて、今回の症例に関しては、小趾側荷重の機能を高めるために、
図のように厚さ2㎜のバッドを貼付することで、荷重機能が大きく改善
しました。

 

これは、第5中足骨の下に貼りつけていますが、

考え方としては第5中足骨を支えること、

小趾外転筋に対して圧迫刺激をすること、による
小趾側荷重機能を高めるきっかけになります。

 

物理的な刺激については、通常隙間がある部分に物を挿入することで、荷重が
分散されることになります。

 

この結果、疼痛が生じていた小趾球(赤点部分)の減圧ができることに加えて、小趾側全体での荷重機能が向上することで、ずいぶんと良い足になります。

 

 

理学療法士 山口剛司


 

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