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靴の傷みについて

その他

2021.10.15

ソールがボロボロになってる?

 

mysole®を作製する際に、靴についてのご相談をよくお伺いします。

 

『mysole®』は、スニーカーに入れて履いて頂く事がオススメなのですが、

そういえば、履いてないスニーカーがあったなあと、しまい込んだ靴をみると

あまり履いていなのに、靴の表面が破れたり、靴底が剝がれてしまったという状況に遭遇したことがある人も少なくはないのでしょうか?

 

その原因には「加水分解(かすいぶんかい)」という現象があります。

加水分解とは?

 

加水分解とは特定の化学物質と水が反応して起こす化学反応です。

 

靴の部材には石油由来の色々な化学物質が使用されております。

その中でも特に加水分解に弱いのは靴のソール部分に頻繁に用いられるポリウレタンという物質です。

ポリウレタンは水や大気中の水蒸気に触れ水分を吸着するとカルボン酸及びアミンとアルコールに分解されます。

この反応は不可逆で元に戻ることは決してありません。

 

そういった弱点があるにも拘らずポリウレタンがソール材に使われるのは衝撃吸収性と耐摩耗性に優れているからです。

 

 

加水分解に対してどの様な対策をとれば良いのか?

 

この非常に厄介な加水分解に対して残念ながら完全に防ぐ方法はありませんが進行を遅らせ、靴を長持ちさせる手段はあります。

 

最も簡単な方法は定期的に履く事です。

箱に仕舞い込む事や下駄箱で保管する事は靴にとっては最良の方法ではありません。

 

定期的に履く事で素材の喚起を良くし、空気を入れ替える事ができます。

また、水分や湿気の滞留を抑制して加水分解による劣化を遅らせることができます。

 

靴は履く度に汚れます。

この汚れも加水分解とは別に劣化の原因となります。

土汚れや埃はブラシやスポンジを使用して落としましょう。

落ちにくい頑固な汚れに対してはアルコール成分の高いウェットティッシュや除菌シートを使用して拭き取って下さい。

水洗いは加水分解を促進する恐れがあるので控えた方が良いでしょう。

また、シミの原因にもなります。

アルコールを使用する理由は水よりも蒸発が早く、そして何よりも加水分解を引き起こさない為、水よりもポリウレタンに対して負担が少ないからです。

 

次の対策方法はローテーションして靴を履き替えることです。

一足だけを集中して履くと湿気が抜けきらないままに履き続けることになって湿気が蓄積し、加水分解を早めてしまいます。

殆どの人は複数の靴を所持していると思いますので2足を交互に履いたりして靴を乾燥させる時間を作ると良いでしょう。

 

最後に紹介するのは防水スプレーです。

雨の日に水に触れる事を完全に避けることは不可能ですが雨の水分から靴を守り、ポリウレタンの水分吸着をかなり防ぐことができます。

また塗膜が靴を包むことで土汚れや、埃による劣化からも保護できます。

 

定期的なお手入れは見た目が綺麗になると共に靴の劣化や異常の早期発見にもなります。

 

『mysole®』にとっても土台となる靴の状態はとても大切です。

お気に入りの靴は定期的に手入れを行い、少しでも長く、快適に履けるようにしていただきたいと思っております。

 


義肢装具士 樋口 盛士

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